CT検査
CTとは体の周囲360度全方向から連続してX線撮影を実施する画像診断装置です。
CT撮影によって、体の内部の情報を緻密に把握する事が出来るため、難しい病気の診断や、手術の計画に向けて使用されます。
当院でのCT検査の例を以下にご紹介致します。
頭頸部
鼻の中や口の中、気管や食道周囲の病気はレントゲンやエコー検査で診断する事が難しい事が多いです。
CT撮影を早期に実施する事で、病気の原因が分かり、場合によっては手術で根治を狙えます。
鼻出血を主訴に来院されたワンちゃんでした。鼻出血は高齢動物では鼻腔内腫瘍の症状の一つとして認められる為、早期診断の為にはCT検査は必須です。このワンちゃんは腫瘍ではなく、根尖膿瘍といって、歯槽膿漏で上顎の骨が解け、鼻から出血を起こしていました。抜歯をして、鼻腔内の洗浄を行うことにより完治しました。
鼻出血を主訴に来院されたネコちゃんのCT画像です。鼻を覆う骨が鼻腔内に発生した腫瘍により溶けているのが分かります。病理診断の結果、リンパ腫と診断されましたので抗がん剤治療により症状は一度完全に改善しました。
目の下が腫れて痛がっているとの主訴で来院されたワンちゃんのCT画像です。CT検査では左の頬骨に腫瘍が発生していました。病理検査の結果、骨肉腫とのことでしたので飼い主様の希望もあり、上顎骨の切除を実施しました。残念ながら一年近く経った後に他の病気で亡くなってしまいましたが、腫瘍の再発は認められず、早期検査・手術が効果的であった患者さんです。
脊髄
脳神経系の検査はMRIが最も有効とされていますが、椎間板ヘルニア等の検査に関してはCT検査は有効な検査の一つです。後ろ足の完全麻痺が生じている場合、緊急で手術が必要な可能性がありますので、CTでの迅速な診断は有効です。
この様にCT検査にて特定した部位の椎体骨を特殊な機械で削って脊髄を露出し、椎間板物質を除去します。真ん中の白い棒状の組織が脊髄です。
体表腫瘤
体表の巨大な腫瘤に関しても、CT検査を実施する事で腫瘤の切除範囲に対する計画がたてられますの推奨されます。
上記の様にCTにより切除範囲を決定し、無事に手術を終えました。